トップ «前の日記(2003-09-15) 最新 次の日記(2003-09-17)»

2003-09-16

_ [FlashMob] フラッシュ・モブ@東京、続報

「指令」のページが更新されてました。

どうやら、誕生日によって2グループに分かれ、異なる待ち合わせ場所(牛オブジェ)が用意されています。カウ・パレードにからめるという HuntingGirledCollective での予想が当たってますね。どちらも東京駅・丸の内口ですが、かなり距離が離れています。当日、牛オブジェ前に行くと何をするのかわかるらしいんですが、どういう展開になるのかな? ……こういう「引き」があるのは「フラッシュ・モブ」っぽいですね。

【関連】
フラッシュ・モブ@東京 (9.12)
欧米で流行中のフラッシュ・モブ、NYの有名おもちゃ店に出現 (ロイター)
全米各地に広がる神出鬼没のモブ(群集)イベント (HotWired Japan)
電子メールで招集、「無意味な群衆」プロジェクト (HotWiredJapan)

_ 舞城王太郎「山ん中の獅見朋成雄」(「群像」7月号)

積んであったのを取り出して読了。大量の擬態語で「詩のボクシング」に出ているねじめ正一を思い出した、のはともかく、ほかには「en-taxi」2号に載っていた短編「W」しか読んでなくて、この2作が彼のマスターピースとして認知されるのかどうかもわからないし自分で判断するにも材料不足だけど、とりあえずいま読んでみたところをざっくりと。

わりと特異な外見((たてがみ))と特殊な能力(足が速くてケンカも強い)を持つ主人公は、身近な人が殺されそうになったことで憤ったりしながら特殊な団体との関係に首をつっこんでいくのだが、その件を深追いするうちに、人を殺しちゃってもそれほど悩まずに目の前の状況を受け入れていくようになる。話も人が死んだことにそれほど引っかからず、話はずんずん進んでいく。結局、最後には再び「普通」の世界へと戻ることになるんだけど、「新しい自分に……」と最後で言っているとはいえ、その姿が「新しい」という感じはあまりしなくて、とりあえず「『人を殺しちゃいけない』という約束の中に戻ろう」というシーンに見えた。

何というか、ひとことで言うと「普通ってこういうことかも」という作品。主人公はパッと見て特殊なキャラっぽいんだけど、実はこれが「普通」なんじゃないかしらと思った。

一応、最後に人間の「倫理」らしきものもちらと顔を出すんだけど、それはあくまで主人公ではない人間によって語られている。語るのは「美の追求者」=芸術家の口で、つまり作中でもある種の「外側」にいる人間である。サイレント・マジョリティというのは意外と、目の前で殺人が起こったとしてもそれに倫理的な憤りを覚えたりはしないんじゃないだろうかと思ったりする。あるいは、よくよく考えてから「殺人はイカン」と思うこともあるけど、瞬間の判断ではそれほどまずいとは思わないんじゃないだろうか。「この後自分は殺されるかもしれない」という状況なら「殺人はいけない」という論理に役割を見出すかもしれないけど、特に自分が圧倒的に優位な立場にあって、自分が殺される立場にないことがかなり明確である場合は。よく「アタマ」と「カラダ」という対比が出されるけど、この場合にあてはめるなら「カラダ」のレベルでは殺人を「悪い」と直感することはせず、「アタマ」のレベルでこねまわしてみてはじめて「悪い」と思いはじめるんじゃないかと思う。

一作を通して、この主人公は殺人について煩悶とはまったく無縁で、「向こう側とこちら側」という境界線を持っていない、あるいは敷居が低い、色が薄い。「W」では、境界線の向こう側が殺人というわけではなかったけど、境界線の敷居が低い点は共通していて、もちろん作者はそういう境界線の存在を知っていて、境界線の向こうに異なる世界を用意してあるんだろうけど、主人公はそれにさほど注意を払わない。こういうところが「新しい」と言われる理由なのかなーと思った。

しかし、この主人公は実は「普通」だと思ったので僕にあまり強い印象を残さない。しかも僕はオールドタイプなのか、そういう「普通」に今ひとつ乗り切れないものを感じる。これは綿矢りさ『インストール』を読んだときと似たような違和感なんだけど。なんつうか、普通じゃない?

「80パーセント? 冗談じゃありません。現状で小説の性能は100パーセント出せます」
「煩悶していない」
「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」

て言われるのかなぁ(これがやりたかっただけ?)。世間の舞城に対する批評ではぜんぜん違うところを問題にするのかもしれませんが。

_ 『機動戦士ガンダム』全セリフ集

Touka's file からどうぞ。↑の資料にしました。有名なセリフでも、細部の記憶はいいかげんだったりしますが、しっかり復習できます。「ああっ、ここはシャアで返したいのに出てこない!」というとき(?)にも安心ですね。素晴らしい。