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2003-03-27

_ 「マイコンBASICマガジン」休刊のお知らせ

ベーマガ休刊か……延々と掲載されているソースコードの未来的なカッコ良さにクラクラさせられたことで、人生が大きく動いてしまった気がする。/.J のコメントを読んでいると、そんな人は多かったのだと思わされる。 PC-6001mkII や X68000 の頃、よくお世話になりました。といっても、それほど打ち込まなかったけど(大変ではあった……)

それだけじゃなく、ベーマガにはアーケードゲームのハイスコア集計があったことも大きい。僕は「スコアラー」にはなれなかったけど、「たかが」ゲームのハイスコアページのほんの一部分に自分の名前を載せるためだけに、超人的なコストと情熱をつぎこんでしまう人たちがいることを知っている。彼らのプレーは本当に芸術的で、感動的で、人間を超えていた。個人の想像する限界の先に、とんでもなく広い領域があるのだと思わされた。人が本気で競っている中でトップに立つためには、どれほどの努力が必要なのかも教えてもらった。その努力が、ときには人生までを傾けてしまうことも。

良くも悪くも、「この雑誌がなかったら、いまの私はなかった」という表現が誇張にならない。「いまの私じゃない私」もちょっと見てみたかったりはするけど。

今ではプログラムの配布もハイスコア集計も、ほとんどがネットワーク上でできるようになり、「未来」だと思えたソースコードも、ただ使うだけなら見なくて済むようになった*1。本当にやってくる未来と、あるとき思い描く「未来」とは、しばしば違うものだったりする。それを感じさせるから「ベーマガ」休刊をさびしいと思うのかもしれない。

*1 実はフロッピーディスクのあたりからそうだったんだけど。

_ 必要ない限りは外出せず、外に出てもあまり寄り道しない生活をここしばらく送っていたので、新刊や新譜の情報に疎くなってしまい、ストレスがたまっていた。でも、今日ひさびさに本屋とCD屋に行ったら、次々にほしいものが出てきて逆に困るということがわかった。難しいなぁ。

外出はしてなかったけどやらなきゃいけないことは多かったわけで、忙しいというか気の休まらない日々を送っている。そんな中、某企業の説明会予約の〆切がすでに過ぎていたことがわかり、ちょっと凹む。わりといきたかったんだけどなぁ……もうやらないんだろうか。

ページ表示が重めになった問題は、はてなアンテナ部分を日記本文よりも後で表示するように構造をいじって多少マシになった。アンテナが反応しまくるんじゃないかという心配も、大丈夫みたいだ。JavaScript を使って埋めこんでるので、ソース上は変更がなく、アンテナからも見えないらしい。よかった。

……こんなことやってるから忘れるんですね。でも、やらないとやってらんないんです。

_ テレビからつい最近聴いた覚えのある曲が流れてくると思ったら、「花とアリス」のCMだった。ネスレも気合入れてプロモーションしてますね。

_ 「当社では『閉じているのも自分』では『自分』と認めておりませんので」

就職活動においては、やたらと「自己分析をしましょう」と言われる。んでもそんなことをしていると、どんどん自分のことが嫌いになっていってしまう。そのテの本には、ご丁寧に「自分を過大評価してみよう」なんてアドバイスまで書かれているわけだが、これも一種の暴力だなぁと思いつつ、ポジティブに解釈されるであろう限られた特徴の中から自分に近いと思うものを選び出し、それに裏付けを与えるべく自分をマインドコントロールしたり、矛盾しないような論理を組み立てたりしてボロを出さないように準備することになる。でも、これは明らかに「自己分析」ではない。そこに「自分」があるか? と考えてみると、鉄板で「ない」。「本当の自分って何?」なんて青春ソングっぽく問うてもしょうがないのはわかるが、「本当の自分」の皮をかぶせながら暗に「演出してこい」と要求してくるという構造がいやなのだ。

と、明らかに負けそうな姿勢になっている。まずいよなぁ。文庫になった埴谷雄高『死霊』が読みたくなってたりするし。「自同律の不快」、自分が自分であることが不快*1。これを吐露する正直さは、いま自分がいる文脈上で決して「良い」ことにはならないのだ。「自己分析」するとき、自分に踏み込んではいけない。

*1 単純化しすぎてるかも。「自分のことが嫌い」ってことだけじゃなく、「私は○○である」という決定論を拒否しつづける姿勢でもあるらしい。