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2003-06-05

_ 個人がアニメを作るということ

新海誠『ほしのこえ』のおかげで個人でアニメを作れるようなムードが出ていて、現場のアニメーターが動揺してると。

問題はそれ[『ほしのこえ』]がDVDになって二万本も三万本も売れてしまったこと。それでアニメスタジオの若いアニメーターとか演出家とかが動揺していること。「もしかして、出遅れたんじゃないか」と思っているんですね。
(押井守)

でも、心配しなくても大丈夫そうです。新海誠と同じく DoGA CGA コンテストでグランプリを受賞しているロマのフ比嘉のインタビューから。押井発言に直接答えたわけではありませんが、「個人でアニメを作れる時代が来た」というムードについての質問に対する答えです。

それは……、まだ無理です! 僕の場合、5分つくるのに3ヵ月かかりました。それも1日16時間、作業に没頭してです。誰か製作期間中の食事を保証してくれる人か、よほど貯金のある人じゃないと難しいですよ。個人でつくってそれを公開して評価を得る、という試みは今のところ、ギター1本かかえてニューヨークに渡るくらい無謀な挑戦だと思います(笑)。
(ロマのフ比嘉)

あくまで技術インフラが今のレベルのままなら、という条件つきですが、いずれ幻想だと気がつかれて「動揺」もおさまるでしょう。個人でアニメを作ろうとすれば、クオリティや売れ行き云々の話にたどりつく前に、それよりもさらにきつくて長い上り坂があることは身近な例を見ていても本当に感じます。ただ、「絶対に不可能なことではなくなった」とは言えるのかもしれませんが。

それを知ってもなお試みる人々はいるかもしれませんが、押井守もそれなりに地位があるんだから、少しは若者の挑戦を認める余裕は持っててほしい気がします。

_キムタク禁煙ならわたしも たばこやめてコンテスト」(Yahoo! ニュース)

これもつかれた経由。なんつー権力的な……。「冗談半分」的な姿勢のほうが、与えるダメージは大きくなる。それが冗談として通用してしまうほど強固な背景が連想されるから。「私たちが正義ですよ」と思っていて、微塵も疑わないきもちわるさ。

いじめがエスカレートしすぎてるのに誰も気がついてない(つこうとしない)状況に似た不快感がある。「葬式ごっこ」を思い出した。

喫煙者の側から「煙草吸ってね」とは言えない状況がすでにできあがっているんだから、あくまで健康被害で勝負してほしいところだ。