トップ «前の日記(2003-05-27) 最新 次の日記(2003-05-29)»

2003-05-28

_ いとまごい日記

「暑い……」
 そう言って、彼女は無邪気にカーディガンを脱ぎはじめた。僕は、心にさざ波が立ちはじめるのを感じながら、それが彼女に伝わらないよう表情を作ることに気を配り、次の話題を考えようとした。だが抑え込もうとしても、その衝動は止まろうとしなかった。僕はたしかに、彼女のもう一つの人格を引き出したくなっている。グラスの氷を回す手が止まってしまう。

彼女がいつも身につけている清潔さは彼女にふさわしいものだったが、それで全てというわけではない。彼女は自分が人に与える印象をよく心得え、気に入ってもいたが、いつもその裏では、与えられたイメージに息苦しさを感じている。

もう一人の彼女が姿を見せるとき、清潔な彼女はどこにいってしまうのだろう。彼女のすぐそばにいて、僕たちを見ているのだろうか? 一度彼女は、まさにもう一人の彼女であるとき、「誰かに部屋を覗かれてるみたい」と口にしたことがあった。その日の彼女は、いつにも増して満足したようだった。彼女はもう一人の彼女になる間、もう一人の彼女を見つめてもいる。悦びを二重に味わった彼女は、再び清潔な姿を身にまとい、日常へ帰ってゆくのだ。僕はその助けをすることに、無上の喜びを感じる。

おそらく数十分後の僕は、もう一人の彼女の前にいるだろうし、彼女もそれを望んでいる。だから僕たちはここにこうしているのだ。

「真っ赤なリップがほしいな、本当に真っ赤なの、血の色みたいな。こんど買い物にいったら買ってくれる?」
 彼女の若さゆえの好奇心と嫉妬深さは、僕の悩みの種であるとともに、喜びでもある。別れ際、いつも僕のYシャツに口紅の跡をつけようとするのだが、彼女に似合う薄い色は、「カラーにつけてもインパクトがない」といつも文句を言う。
「いやだ」
「どうして?」
 少し表情が曇る。
「薄い色をつけてるほうがかわいいから」
「本当?」
 曇りのち晴れ。
「キスしても不細工にならないしね」
 彼女は少しすねてみせた。彼女は自分のその仕草をかわいいと思っているし、僕もその点にはうなずくしかなかった。僕はまた、グラスの氷を回しはじめた。氷は少し小さくなっていて、さっきよりも半音高い音をたてた。

_ Web日記占い

やってみました。

cu39 さんは 妄想日記 を書くと多くの人を魅了します。

あなたは想像力により普通の人が忘れてしまったり,考えもしない事について,おもしろおかしく効果的に表現した日記を書くと成功するかも知れません。


cu39 さんが書く日記の性質
人間度 37 精神度 83 思考度 60 変態っぽさ 25 やましさ 83


cu39 さんの日記のオススメの題名
いとまごい日記


今日書く日記のネタが無いあなたへ
cu39 さんが今日書くと良い話

「もう一つの人格」
「口紅の跡」
「誰かに部屋を」
「暑いからと言って無邪気に」

上の言葉をすべて使って 恋愛小説 風にまとめると良いかも。

というわけでした。どこが「いとまごい日記」なのかわかりませんが、いかがでしょう。