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2003-02-06

_ 「試み」

ゼミ合宿から帰ってきました。発表と飲みとボーリングとアウトレット・モールで冬の軽井沢はあまりやることがないという結論に。

それはともかく、一番印象に残ったのは、あるゼミ生の卒論発表。

彼がテーマとしたのは、ヨーロッパ(特にフランス)における「隠者」(仏:ermite、英:hermit)について。カトリック支配の中でプロテスタントが生まれてこようとする過渡期に活躍(?)した「隠修士」という人々に近代的心性の表れを見ようとする中、それと対称するかたちで、典型的「近代」が表れている文献を引用した。その中にあったのが、モンテーニュ『エセー』。

『エセー』とは、日本だと「随筆」と訳されるが、もともとは仏語 "essais" (動詞形 essayer)である。 "essais" とは、英語における "try" である。考察とは、すなわち「試み」だと。彼の用意したプリントから、いくつか引用。

・一般の意見や公衆の認識から抜け出すために、独自の判断力のみを便りとする道を模索
・読書室の隠棲を通して、思考の「試み」を行う
・他者を排除するのではなく、判断力を持つことを呼びかける
 何というか、自意識過剰だろうと人様の役に立っていなかろうと、やっぱり日記を書いてしまうのである。「試み」であるということが、スパッと言い当てられた快感があって、少し安心した。

うちのゼミには「問題」にまつわる諸々を心得ている人がぼちぼちといる。わかっている人がいたところで「問題」自体が解決するわけではないのだが、何となく助けられることが多い。

モンテーニュ『エセー』のほかに、パスカル『パンセ』からもやたらグッとくる台詞が引用されていた。この2冊はぜったい読む。なるべく読む。たぶん読む。

_ 雪国の凍みてくる寒さも光をよく通す空気も、たまのことなのでなかなかよかった。ゲレンデとして削り取られた山を見たらひさしぶりにスキーがしたくなったけど、時間もなくできず。来年あたり行っておこうかと思う。